著者
岩井 聡美
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-13, 2021 (Released:2021-07-06)
参考文献数
67

現在、猫の尿管結石症に遭遇する機会は年々増加しているが、ほとんどがシュウ酸カルシウム結石であり、尿管閉塞の原因となる。猫の尿管閉塞は結石自体によるものと、尿管の線維化や肉芽腫形成によって起こる二次的なものが存在する。結石が存在しない場合もあるため、超音波検査にて腎盂や尿管の拡張が認められた場合には、尿管閉塞を疑って精密検査の実施が推奨される。片側の尿管における閉塞や狭窄であれば、重篤な病態に陥ることは少ないが、両側の尿管に閉塞が生じるとかなり重篤な状況での対処が必要となる。また、前述のようにほとんどがシュウ酸カルシウム結石であるために、外科的治療法が適応となる。猫では急性腎障害を発症した後、尿管閉塞を解除しても尿細管間質の線維化が進行しやすい病態変化を示し、慢性腎臓病へと移行しやすいと考えられている。今回、猫における尿管結石の原因、病態変化、臨床症状、診断法、治療法、および予後管理を中心に解説する。

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#ureterolithiasis in cats. While obstruction of a single ureter is less likely to cause serious injury, stricture of both ureters requires urgent treatment. https://t.co/bGIANsfIqf

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