著者
大門 正幸
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.22-31, 2020-07-15 (Released:2020-07-23)
参考文献数
24

「胎内記憶」という表現は本来「母親の胎内にいる時の記憶」を指す語であるが、「過去生記憶」や「中間生」と呼ばれる受胎前の記憶、「誕生時記憶」なども含めた総称として用いられるようになってきている。胎内記憶研究の第一人者とされる池川明氏の活躍によって一般に知られるようになったこの概念は、広く受け入れられるようになると同時に、様々な批判を受けるようにもなってきた。本稿では、「専門家」による「胎内記憶」批判を検討し、それらが妥当性に欠けるものであることを示す。一方、「胎内記憶」推進派の言説や実践についても改善が望まれる点がある。特に次の二点は重要である。第一に、人生観に関する知見という「胎内記憶」研究から得られる「態度価値」を重要視するあまり、たとえば「子どもはみな親を選ぶ」のような過度な一般化がなされ、実際のデータから乖離してしまうことがある点である。「胎内記憶」を「根拠」とするのであれば、データについてはより慎重な取り扱いが必要であろう。第二の点は、「胎内記憶」と密接に関わる特殊能力の取り扱いについてである。具体的には、胎児との対話や、重い障がいを持った子どもとの対話など、「胎内記憶」同様、従来の脳還元主義的意識論では説明できないコミュニケーションである。これらについては、「胎内記憶」の真実性と同様に、調査・研究によってその実在性が確認されるべきであろう。

言及状況

外部データベース (DOI)

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@makimotoshinja 彼は産婦人科医の池川明さんと共に「胎内記憶図鑑」という絵本を発売し、どうやって母親を選ぶのか、自分がどうなるか知っていて選んでいる等の内容を読み聞かせる絵本を作られています 池川氏の唱える胎内記憶は根拠に乏しく、本人もそれを理解した上で良しとしています https://t.co/CffmohIgPu
memo_φ(・_・ 「胎内記憶」とそれに関連する言説をめぐって ~感情的な反発から理性的で建設的な提案へ~ 大 門 正 幸※(中部大学/バージニア大学) https://t.co/aNE1cy5Ycu
NHKの投稿フォームからは胎内記憶を取り上げるのは問題がないでしょうか?と以下のURLを添付して意見を送信しました。 URLは検索して出てきたものです。 やはり子供が胎内での記憶や前世の出来事を話すとかいうのはどうみてもおかしいでしょう。 https://t.co/ztkf9y3wQK https://t.co/tV14OWXKbS
https://t.co/KoK25nINhk
@mikakoiwatake @bewizyou1 ソフロロジーは麻酔を使わない出産、胎内記憶は胎児の人間性の強調、こういう反医療、胎児の人間性→中絶の阻止、みたいな思想はキリスト教原理主義的な香りがしますね
https://t.co/6Sn0AQleSR 最近読んだ論文の中で面白かったものの一つ。 整形外科とはほとんど関係ないですが、あり得ないものをアタマから否定するのではなく、その可能性について丁寧に検討する姿勢はとても勉強になります。

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編集者: Mei mei1234
2021-07-21 23:37:58 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。

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