著者
松澤 孝明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.379-390, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
22

「研究不正」は他の法令違反とは異なる原則や特徴を有しているため,「過失」から生じる場合が意外に多く,その対策として各国・地域では研究倫理教育が重視されている。現在,わが国の研究倫理教育は自国や自機関のルールに関するコンプライアンス教育(予防倫理の考え方による教育)が中心であると考えられる。しかし,研究不正の定義や各国・地域の研究公正システムには,各国・地域の国情や,国家イノベーションシステムの違いを反映して,国・地域による多様性が存在する。このような研究倫理における不均一性の存在は,研究活動のグローバル化に伴い研究不正が非意図的に発生するリスクを増大させる。また,研究機関間・研究分野間の移動や研究不正に対する時間的な認識の変化によっても同様のリスクは発生する。したがって,予防倫理による知識教育だけでは,このような非意図的に発生するリスクに十分対応できるのかは疑問であり,若手研究者の育成に当たっては知識に加え,新しい課題や状況に直面したときに適切な行動を選択できる能力を習得することが必要である。このため,博士課程における構造的訓練の実施など,研究倫理教育の指導方法の構造化が必要ではないかと考えられる。

言及状況

外部データベース (DOI)

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倫理教育してどうにかなる話ではないので科学という方法論(観察・仮説・検証をコミュニティレベルで共有する)がある。時間がかかるという点が、今を急ぐ昨今の研究体制と加熱した競争にそぐわないだけ。
これは勉強になる。

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研究領域の違いによるグレーゾーンの相違は重要な指摘です。一方で、同じ学術誌に掲載される研究は、研究公正についても同じクライテリアで評価されるべきでしょう。「博士人材の研究公正力」https://t.co/qpuYQI6Sdx
博士人材の研究公正力(1):グローバル化時代の研究倫理教育 https://t.co/i2aLnhC0c5
「情報管理」2017年9月号 博士人材の研究公正力(1):グローバル化時代の研究倫理教育 研究公正の定義は分野、国・地域によって異なる。意図せず研究不正とみなされるリスクが増大している。NISTEP松澤孝明氏が研究倫理教育を解説 https://t.co/FGl2MRx2si

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