著者
後藤 仁敏 井上 孝二
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.667-688, 1979 (Released:2011-08-10)
参考文献数
46
被引用文献数
1 1

西アフリカのマリ共和国において, 新生代第三紀始新世の地層から発見された, 化石全骨魚類のピクノドゥス類に属する魚の鋤骨一口蓋骨歯について, 歯の形態と配列状態に関する肉眼的観察, 研磨標本の光学顕微鏡的観察, マイクロラジオグラフィー, 走査電子顕微鏡的観察, および粉末試料のX線回折などの方法により, 歯を構成する硬組織の性質を検索した。鋤骨一口蓋骨の下面に歯はトウモロコシ状に, かなり不規則ではあるが11の歯列をなして配列している。歯の硬組織は, おもにリン灰石からなる鉱物質によって構成され, 厚い外層 (エナメル質) とその下の薄い内層 (象牙質) からなり, 内層は歯の辺縁部で下方に細長く突出しており, 本来の歯髄腔は骨組織によってみたされている。歯の外層は, X線透過度の低い高度に石灰化した硬組織で, 内層から連続する細管によって貫かれ, 深層部では叢状に密に交錯する結晶の束からなるが, 表層部では結晶が歯表に直角方向に平行に配列する状態に移行している。酸で脱灰すると外層の硬組織は溶解消失するが, 細管構造は残存してヘマトキシリンに染色される。歯の内層は, X線透過度の比較的高い層で, 脱灰標本ではヘマトキシリンに染色され, 象牙細管の存在する領域と, その周囲をとりまく線維骨様組織から構成されており, 前者の直下には分断された小さな歯髄腔が存在しているが, 後者は本来の歯髄腔をみたす骨組織に移行している。歯の外層と内層との境界は明瞭であるが, 歯の内層と周囲の骨組織とは移行的で, 歯は骨組織と骨性結合により固く支持されている。このような歯の配列状態, 組織構造, 支持様式は, この魚がピクノドゥス類のなかでも, 有殻軟体動物食に著しく適応した仲間であったことを, 示すものである。

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後藤仁敏、井上孝二「化石全骨魚類Pycnodontの歯に関する比較組織学的研究」歯科基礎医学会雑誌1979 年 21 巻 4 号 p. 667-688 論文フリー(本文日本語) マニアックな化石魚類好きな方は是非。 https://t.co/3sImkdT74K #とよけら論文紹介

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