著者
五十嵐 多恵
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.7-12, 2018 (Released:2021-02-06)
参考文献数
15

近視は、遺伝要因と環境要因の相互作用が原因となり発症し進行する。近代化に伴う環境変化によって小児の近視患者が急増加する一方で、近視が強度で病的であるほどMendel遺伝疾患や稀な影響力の大きい遺伝子変異が関与する傾向が知られており、幼少期からの強度近視患者には、遺伝要因が近視の発症と進行の主因と考えられる患者の割合が高い。近年は学童近視に対しては近視進行予防治療が行われ、単一遺伝性の網膜疾患に対しては遺伝子治療が行われるようになった。今後、近視診療従事者は、個々の近視患者の発症と進行の原因を正しく理解し、適切な医療情報の提示を行うことが重要になると予測される。また病的近視患者の視機能を生涯に渡り良好に維持するためには、小児期の早期に病的患者を同定し、適切な合併症管理に結びつけることが重要である。眼底写真で視神経乳頭周囲のびまん性萎縮の形成を確認するとともに、脈絡膜厚をモニタリングすることや、広角OCTを用いて後部ぶどう腫の初期病変を同定することは、早期診断のための有用な指標と考えらえる。

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