著者
生田 孝
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.13-21, 2014 (Released:2014-04-13)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

いわゆる「新型うつ病」が近年世間に広まり,産業保健の現場でも「新型うつ病」の社員にどのように対処すべきか,多くの企業で喫緊の問題となっている.しかしながら,精神医学的に見ればいわばこれは「ゴッタ煮」概念であり,そこには,疾患としてのうつ病や軽度の精神病,神経症,ある種のパーソナリティ障害,適応障害,怠業や逃避行動,あるいは健常者における一過性の不適応行動まで含まれており,学問的な信頼性と妥当性を有した疾患概念ではない.しかしながらそれは,いわば現代日本の時代精神を反映している.その意味で「新型うつ病」は,極めて流動的であり,数十年の時間スパンに耐えうるかどうかは疑問である.その内実を知るには,精神疾患の成因論的視点が不可欠であり,少なくとも当該者の対応には,経験を積んだ精神科医による詳細な生活史の把握と成因論的(つまり,心因性・内因性・外因性の)見方,および状況因と性格因的視点が不可欠である.

言及状況

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集中力は必ずしも「全体的」という意味ではありません。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/josh/7/1/7_13/_pdf ・また選択的(嫌なことに対してのみの)集中力低下も特徴的である.

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@n5dhBKCHJEcOAzR 笠原−木村分類は今でも参考になります。 これ、先生のご意見と同じ事書いてあります。私も同感です。 https://t.co/9hiri5Pllf
新型うつ病とかあるっぽい。ネットを見ても素人の話が多いので、専門家の論文等を検索してみた。 精神科医 生 田 孝氏の記事のリンク 「新型うつ病」では他責的・他罰的である 古典的うつ病で例外なく認められたような悲哀感,制止症状が乏しい(内積的・内罰的) https://t.co/D6hppqaUMl

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