著者
坪原 紳二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.84-95, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
27

オランダ・フローニンゲン市は1977年、交通循環計画(VCP)に基づき中心市街地を4セクターに分割し、車がセクター間を移動するには一度、環状線に出なければならないようにした。これによって中心市街地の自動車交通量は半減した。本論文はこのVCP導入の政治的プロセスを分析することで、環境にやさしい交通政策の実現にとって必要な民主主義について、示唆を与えることを目的とする。当時導入を主導したニューレフトは、リベラル・デモクラシーの実現手段である政治化、対極化、及び参加民主主義の実現手段である市民参加を、政治信条として掲げていた。ところが実際のVCPの導入プロセスにおいては、政治化と対極化は明確に見て取ることができたが、市民が参加する機会は極めて限られていた。このことは、環境にやさしい交通政策を実現するうえでは、参加民主主義よりもむしろリベラル・デモクラシーが有効であることを示唆している。

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オランダ・フローニンゲンの交通循環計画の導入プロセスにおけるリベラル・デモクラシー https://t.co/T3XZnNpZ0D "当時導入を主導したニューレフトは、リベラル・デモクラシーの実現手段である政治化、対極化、及び参加民主主義の実現手段である市民参加を、政治信条として掲げていた。"
坪原 紳二(2012)「オランダ・フローニンゲンの交通循環計画の導入プロセスにおけるリベラル・デモクラシー」 https://t.co/rS4a7xRlS6 有名なフローニゲンの中心市街4分割策が成功した政治的背景を詳しく調べた論文。「参加民主主義よりもむしろリベラル・デモクラシーが有効」。

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