著者
山村 奈津子 梅田 麻希
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.251-261, 2022-04-15 (Released:2022-04-26)
参考文献数
37

目的 平成30年7月豪雨災害に伴う被災市町村の要介護認定率の変化を推定するとともに,被災状況や地域特性と当該変化の関連を検討することを目的とした。方法 災害救助法を適用された108市町村を対象とし,2016年7月から2019年7月までの計37か月の月別要介護認定率のデータから,要介護認定率および軽度要介護率(要支援1~2),中度要介護認定率(要介護1~3),重度要介護認定率(要介護4~5)の災害後の変化を分割時系列分析により推定した。災害後の要介護認定率のトレンドの変化傾向と被災状況(住家被害棟数,死者・行方不明者数),地域特性(高齢化率,人口密度,課税対象所得,保健師1人当たり人口,介護保険施設定員数,病院病床数,診療所数,特定健診実施率,特定保健指導実施率)との関連を検討するため,多項ロジスティック回帰分析を行った。結果 要介護認定率および軽度要介護認定率は発災当月,災害後のトレンドの変化ともに有意な上昇が見られた。中度要介護認定率の災害後のトレンドの変化は有意に下降していた。重度要介護認定率は災害当月のみ有意な上昇が見られたが,災害後のトレンドには有意な変化が見られなかった。中度要介護認定率のトレンドの下降変化は,高齢化率と負の関連,診療所数と正の関連が見られた。要介護認定率,軽度要介護認定率,重度要介護認定率については,被災状況,地域特性に関するいずれの変数とも有意な関連は見られなかった。結論 自立度が比較的高い軽度要介護高齢者において,災害により介護保険サービスの需要が高まる可能性が示唆された。

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