著者
渡辺 伸一
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究 (ISSN:24340618)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.204-218, 1998-10-05 (Released:2019-03-22)

本稿の課題は、新潟水俣病を中心事例として、当該地域社会における被害者への差別と抑圧の論理を解明することである。水俣病患者に対する差別には異なった2つの種類がある。ひとつは、「水俣病である」と周囲から認知されることによって引き起こされるいわば「水俣病差別」とでも呼ぶべきものであり、もうひとつは、その反対に「水俣病ではない」と認知される、つまり「ニセ患者」だとラベリングされることによって生じる差別である。新潟水俣病の第一次訴訟判決(1971年9月)および加害企業との補償協定締結の時期(1973年6月)の以前においては、地域の社会構造や生活様式、社会規範に密接に関わる形で生み出されてきた「水俣病差別」の方だけが問題化していた。しかし、その後、水俣病認定基準の厳格化によって大量の未認定患者が発生する頃から、別の否定的反応が加わるようになった。これが、「ニセ患者」差別という問題である。これは、地域社会における「水俣病差別」と「過度に厳格な認定制度(基準)」が、相互に深く絡み合う中で生み出されてきた新たなる差別と抑圧の形態であった。本稿ではさらに、差別と抑圧の全体像を把握すべく、新潟水俣病における差別と抑圧の問題は、以下の7つの要因が関与して生み出された複合的なものであること、しかし、その複合化、重層化の度合いは、阿賀野川の流域区分毎に異なっていることを明らかにした。1.加害企業による地域支配、2.革新系の組織・運動に対する反発、3.漁村ぐるみの水俣病かくし、4.伝統的な階層差別意識の活性化、5.水俣病という病に対する社会的排斥、6.認定制度による認定棄却者の大量発生、7.“水俣病患者らしさ”の欠如への反発。

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J-STAGE Articles - 水俣病発生地域における差別と抑圧の論理―新潟水俣病を中心に― https://t.co/gMgg2fMnN9 ハンセン病を生きて - 岩波書店 https://t.co/U2md6begml
文章量や文体という点では、論文だけど気負わずに読めた。 差別の現れ方の「型」 https://t.co/OwXwcaPwnP
@tcv2catnap →これは、地域社会における「水俣病差別」と「過度に厳格化した認定制度 (基準)」が、相互に深く絡み合う中で生み出されてきた被害者差別の新たな形態であった。」 渡辺伸一『水俣病発生地域における差別と抑圧の論理 新潟水俣病を中心に』1998 https://t.co/XZRvCp9Bh1 https://t.co/6hKaJEGCbW
@tcv2catnap →前期において被害の社会的増幅をもっぱら行っていたのは、地域の社会構造や生活様式、社会規範に密接に関わる/「水俣病差別」という問題で/、後期になり、/他に、別の否定的反応が加わる/これが、「ニセ患者」差別という問題である。→ 渡辺伸一1998 https://t.co/XZRvCp9Bh1
@tcv2catnap →/「本物の患者ではない」とラベリング/、いわゆる「ニセ患者」差別である。 新潟水俣病の歴史を、第一次訴訟の勝訴判決(1971年9月)および加害企業との補償協定締結の時期(1973年6月)を基軸とし、「前期」と「後期」に分ける/と、→ 渡辺伸一1998 https://t.co/XZRvCp9Bh1 https://t.co/f0oc8zjjeE
@tcv2catnap 「水俣病の歴史をみると、被害者に対する差別と抑圧/には、/2つの種類がある/。 ひとつは、「水俣病患者は出さない」とする社会的圧力および/水俣病だと認知されることで被る中傷や社会的排除という問題であり、いわば「水俣病差別」/。 もうひとつは、→ 渡辺1998 https://t.co/XZRvCp9Bh1 https://t.co/HYHoa4e509

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