著者
吉田 正俊
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.109-114, 2009 (Released:2019-11-08)
参考文献数
17

第一次視覚野が損傷を受けた患者において,視野上のものが見えないにもかかわらず,その位置を当てるなどの視覚情報処理能力が残存している「盲視」という現象がある。盲視の発現には数カ月のトレーニングが必要であるという知見が集まってきている。マカクザルを動物モデルとして用いた研究では,第一次視覚野の切除後にも盲視が起こることが明らかになっている。筆者らはこのような実験モデルを作成して,機能回復トレーニングによって視覚機能がいかに回復するかを調べた。継続的なトレーニングによっておよそ8週間程度で視覚弁別の成績がほぼ正常と同等のレベルまで回復することが明らかになった。しかし,詳しく調べると以下の違いがあることが明らかになった。1)サッカードの制御にも影響を与える,2)意志決定の過程にも影響を与える。これらの知見は新しいリハビリテーションの方策と効果判定に役立つと考えられる。

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