著者
原 直人
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.47-51, 2012 (Released:2019-11-22)
参考文献数
28
被引用文献数
3

ストレスに対する生体の評価あるいは視覚疲労の生理的評価のために瞳孔反応を用いた方法が研究されてきた。瞳孔径は,精神活動であるストレス,覚醒,注意,あるいは眠気などに相関して増大する。したがって瞳孔反応は,扁桃体あるいは前頭葉機能との相互関係により調節されており,情動発現や認知過程に関する単純な反射ではなく,脳活動全般の指標であることが示唆されている。自律神経系反応としての瞳孔径の変化が,ストレスと強い相関関係にあるバイオマーカーとして用いられている。また瞳孔振動・ゆらぎを指標として,ストレスや睡眠との関係を研究した報告が数多くある。例えば,全身疲労で疲弊した状態では,瞳孔縮瞳に伴い大きな瞳孔のゆらぎが出現するが,それが他覚的な眠気の指標とされている。一方,疲労とは相反する状態である音楽を聴きながらのリラックス状態でも同様な縮瞳とゆらぎの出現が観察できる。いまだ情動発現における身体反応と瞳孔反応の研究は十分ではない。今後,瞳孔反応の非侵襲的な測定方法によりますます盛んになることが望まれる。

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ストレスにより瞳孔が開く研究結果は数多くあるみたい 眩しさを指標にしてメンタルケアするのもアリ https://t.co/VAkejHetVv https://t.co/Ngir3xrcVK
自律神経機能はRR間隔だけでなく、瞳孔経で測定できる https://t.co/Q4Y4kO97wA

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