著者
手塚 浩子 中島 ちあき 只浦 寛子
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-9, 2020 (Released:2020-06-30)
参考文献数
22

10%ポビドンヨード(以下PVP-1)による接触皮膚炎(contact dermatitis 以下CD)は多く研究されてきたが、どのような患者に多く発生しているかを調査した研究は少ない。診療記録からPVP-1 によるCD が発生しやすい患者の特徴が分かれば、簡易スクリーニングに貢献できる可能性がある。本研究はPVP-1 によるCD の発生群と未発生群を比較し、患者側のリスクファクターを調査することを目的とした。地域医療支援病院1 施設において約2 年間に手術を受けた6,583 名のなかで腹部のCD 発生が多いことに着目し、PVP-1 を使用して腹部を消毒した患者355 名を本研究の対象とした。39 名(11%)にPVP-1 によるCD を認めた。CD 発生ありなし群の影響をみるため、4 つの説明変数にて分析を行った結果、アルコールによる発赤の既往あり(オッズ比5.94[95%信頼区間1.52-23.09], p < 0.05)と若年齢(オッズ比0.97[95%信頼区間0.95-0.99], p < 0.05)に関連していた。手術前の問診からリスクファクターがある患者に対して十分な予防対策をするとともに、PVP-1 を使用せざるをえない場合にはCD 発生のリスクを十分に説明し、患者に同意を得る必要があり、使用後についても十分観察し注意すべきである。

言及状況

外部データベース (DOI)

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外科領域では参考になるかもしれないテーマです。ポビドンヨードによる接触皮膚炎のリスク因子は何か。糖尿病などは無関係で、アルコールによる発赤の既往は関係があるかもしれない。 10%ポビドンヨードによる接触皮膚炎発生に関連する 患者側のリスクファクター(2020.9) https://t.co/8xeaAWqHaY

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