著者
木下 英司
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.49-60, 2019 (Released:2019-12-11)
参考文献数
32

Phos-tagは,中性の水溶液中においてリン酸モノエステルジアニオンを選択的に捕捉する機能性分子である.Phos-tagのリン酸モノエステルジアニオンに対する親和性は,生体中に存在する他のアニオン,たとえば,カルボン酸アニオンに対するそれよりも1万倍以上大きい.これまでに筆者らは,Phos-tagを基盤としたリン酸化プロテオミクスに有用な技術を開発し,実用化している.本稿では,これまでに実用化した主な3つの技術について概説する.1つめは,Phos-tagに親水性のクロマトグラフィー用担体を導入した誘導体(Phos-tagポリマービーズ)を用いてリン酸化ペプチドやリン酸化タンパク質を分離濃縮する技術,2つめはPhos-tagビオチンを用いて各種アレイ上に存在するリン酸化ペプチドやリン酸化タンパク質を検出する技術,3つ目はPhos-tagアクリルアミドを用いた電気泳動によってリン酸化タンパク質を分離検出する技術である.これらの3つの技術が,リン酸化プロテオミクス,ひいては生命科学研究に大きく貢献することを期待している.

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