著者
音羽 健司 森田 正哉
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.18-28, 2015-11-30 (Released:2015-12-10)
参考文献数
39
被引用文献数
1

社交不安症(SAD)は社交場面や対人面において恐れや不安を抱き,それを回避することで日常生活に支障を生じる疾患である。DSM-III以降,欧米では多くの疫学研究が行われるようになり,有病率の高さが注目された。DSM-IVでは社会恐怖の診断名に「社会不安障害」が併記され,恐怖症から不安障害へと名称・概念の変遷に至った。また,他の精神疾患の併存率の高さも指摘されており,特にうつ病や自殺のリスクに注意が必要である。DSM-5で初めて,SADはこれまでの自己主体性の不安だけでなく他者主体性の症状が盛り込まれ,わが国固有の対人恐怖症とほぼ同一の疾患概念として捉えられるようになった。本邦ではいまだ「見逃されている」精神疾患であり,診断と治療が依然十分には行き届いているとはいえない。わが国特有の文化的背景も考慮に入れつつ,患者に最適な治療が届くようにSADを見落とさない努力を医療者側が行う必要がある。

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研究者が当事者やった仕事を自分のものにするトレンドの件で思い出したのだが、私は不安障害研究7(1)のこれ(https://t.co/XMva2zxTZd)のpp.23-25の一部は私のブログ記事(https://t.co/pI0gGeF7ie)を参照しながら書いたのではという疑惑が拭えないでいる。
社交不安症と対人恐怖症は違う。少なくともDSM-5上では違う。https://t.co/dXm9uWTuo8 対人恐怖症は、強迫症的にいうと加害恐怖がある。「申し訳ない」「迷惑をかけてしまっている」「私の存在が危害を加えている」という所になる。
https://t.co/tpdAOniuPf 社交不安症は意外と多い病気で、SSRIと認知行動療法が治療の第一選択肢です。単なる人見知りではありません!本人はかなり辛い病気です。しかし、沢山の方が克服できる病気でもあります。#社交不安障害 #社交不安 ちなみに、場面完黙も社交不安症です。 https://t.co/LyU0PIoU5H
不安症研究7巻1号は社交不安症の特集 社交不安症の診断と評価⇒https://t.co/mqfZmwikcq 社交不安症の疫学―その概念の変遷と歴史―⇒https://t.co/dgcPsXt4FL 社交不安症の薬物療法⇒https://t.co/HlRuMTNhDI

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