著者
清水 栄司
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.64-71, 2015-11-30 (Released:2015-12-10)
参考文献数
24

うつ病やパニック症,PTSDなどの有病率は,女性が男性の約2倍高いが,社交不安症の有病率は,それほど性差がないのはなぜか。脳の性差から,うつ病や他の不安症群が,女性に多いことは理解しうる。社交不安症もうつ病と同様,扁桃体の過剰反応と前頭葉の機能不全が想定される。メス優位社会のボノボは,他者に対して寛容で,親愛の情を示す一方,オス優位社会のチンパンジーは,攻撃的,競争的である。アイ・コンタクトを調べると,ボノボは,チンパンジーよりも多いという研究が報告された(Kano et al., 2015)。アイ・コンタクトを避ける安全行動をしがちな社交不安症は,支配ヒエラルキーの中で,攻撃性が必要とされた男性優位社会の歴史と関連があるかもしれない。進化生物学的観点から,歴史的に,兵士にならなければならなかった男性に,戦場で不安症状をさらせば,戦死につながりうることから,競争社会の中で,敵に対する恐怖(対人恐怖)の圧力が強くかかり,女性と同様に,社交不安症になりやすい要因を考察した。

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社交不安症と脳の性差の進化生物学 清水 栄司 不安症研究 7巻 (2015) 1号 p.64-71 https://t.co/lltIE7uqqh
社交不安症の認知・行動療法―最近の研究動向からその本質を探る―⇒https://t.co/o9w95G8zkn 社交不安症に関する脳画像研究の最前線⇒https://t.co/nL3CDRjJGh 社交不安症と脳の性差の進化生物学⇒https://t.co/nQ5tL7NsG8

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