- 著者
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西川 徹
- 出版者
- 日本生物学的精神医学会
- 雑誌
- 日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.3, pp.131-134, 2014 (Released:2017-02-16)
本シンポジウムでは,4 名のケタミンによる抗うつ効果の研究者が,最近得た成果について講演した。初めに,世界で初めてうつ病患者の治療に低用量のケタミンを導入した,Yale大学精神科の Krystal 教授が単独で投与した低用量ケタミンの抗うつ作用について最新の知見を報告した。次に,札幌鈴木病院の岡本主任医長が国立精神・神経医療センターで行った,難治性うつ病への修正電気療法において,麻酔にケタミンを使用する方が通常の propofol を投与するより優れていることを示した。3 番目の,浜松ホトニクスの塚田 PET センター長は,サルにおける PET 脳画像解析を進め,低用量のケタミンが NMDA 型グルタミン酸受容体遮断薬としてだけでなく,セロトニン取り込み阻害薬としても作用することを明らかにした。最後に,ミシガン大学の Domino 教授が抗うつ効果と基礎研究がもたらした謎のいくつかを説明する,ケタミンの多様な神経薬理学的メカニズムを展望した。