著者
田宗 秀隆
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.126-129, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
8

精神科医にとって,臨床経験の充実と基礎研究へ取り組む時間配分は課題である。ライフステージ変化も加わることも多い時期に,プロフェッショナルとしての立脚点が定まらない不安も抱え,何を優先するか迷うに違いない。筆者がキャリアパスを考えたきっかけは医学部時代のMD研究者育成プログラムである。卒業生は半数以上が基礎系大学院に所属しており,現況を報告する。 臨床で病の軌跡(Illness Trajectory)を知ることは研究のアイデアになりえ,研究の成果は臨床への還元が期待できる。異なる哲学・ルールを体験することも成長につながるだろう。 筆者は専門医と精神保健指定医を取得し,外的基準としての専門性を身につけたうえで大学院に進学した。前方視的に最適配分を決めるのは難しいが,自分なりの価値観(=内的基準)を確立できるようにトレーニング期間を過ごすことが重要だと思う。筆者の周囲では,折り合いをつけて選んだ道を歩んでいる精神科医が多く,多様性を認め合う文化を筆者もありがたく享受している。

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わかる。 "筆者はいま週1回の臨床業務しかしていないが,精神 科臨床力はまだ着実に伸びていると実感している。 <略>特に精神科の場合,患者さんの経過フォロー にあたり,絶対的な時間の流れ(週1回働いても 毎日働いても1週間は1週間)は重要なファクター である。" https://t.co/jwDEp86W0Y

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