著者
向井 正也
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.127-135, 2006 (Released:2006-07-01)
参考文献数
56
被引用文献数
1 1

全身性エリテマトーデス(SLE)ではアポトーシスが亢進しており,末梢血中でDNAとヒストンの複合体であるヌクレオゾームの過剰状態がある.このヌクレオゾームはその除去の低下ないしウイルス感染などによる修飾によって免疫原性を持ち,抗ヌクレオゾーム抗体が産生される.抗ヌクレオゾーム抗体は多くのSLEで陽性であり,診断マーカーとして重要であり疾患活動性のマーカーである可能性もある.ヌクレオゾームは抗ヌクレオゾーム抗体と免疫複合体を形成するが,ヌクレオゾームのヒストンには強い陽性荷電があり,腎糸球体基底膜のヘパラン硫酸の陰性荷電と結合し,抗ヌクレオゾーム抗体が腎基底膜に結合すると考えられる.これに補体が結合して,腎炎などの組織障害を呈すると考えられる.   ヌクレオゾームは免疫原として抗ヌクレオゾーム抗体ついで抗DNA抗体といった自己抗体の産生に関与して病因になるだけでなく,自己抗原としてその免疫複合体がイオン結合で組織に沈着して組織障害に関与するなど,SLEの病態にも深く関与していると考えられる.本稿ではSLEにおけるヌクレオゾームの役割について概説し,合わせてアポトーシスの発現部位についてリンパ球以外の臓器として肝臓の可能性についても述べる.

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