著者
門野 岳史
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.242-248, 2010 (Released:2010-10-31)
参考文献数
44
被引用文献数
2 3

血球細胞はまず皮膚の血管内皮細胞によって捕獲(capture)され,血管に沿って転がり(rolling),固着する(firm adhesion).その後,血管内皮細胞を通り抜け(transmigration),血管外へと遊出し(diapedesis),皮膚へと浸潤する.これらの過程には様々な細胞接着分子が重要であり,例えばcaptureおよびrollingはセレクチンファミリーによって主に制御される.セレクチンファミリーはL-selectin, P-selectin, E-selectinよりなり,これらの分子の阻害により皮膚の炎症が減弱する.Firm adhesionにはインテグリンファミリーが重要であり,その主なものとしてβ2 integrinとそのリガンドであるICAM-1およびα4 integrinとそのリガンドであるVCAM-1がある.これらの分子の阻害によっても皮膚の炎症は減弱する.Transmigrationおよびdiapedesisに関与する分子に関しても,PECAM-1, CD99, JAMの阻害により皮膚の炎症が改善した報告がみられている.今後,これら様々な細胞接着因子を抑えることにより,皮膚の炎症を制御することが期待される.

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