著者
中山田 真吾 田中 良哉
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-7, 2016 (Released:2016-05-14)
参考文献数
41
被引用文献数
3 6

自己免疫疾患の病態形成には,自己応答性T細胞とB細胞の活性化,および産生された自己抗体による組織障害が介在する.濾胞性ヘルパーT(Tfh: T follicular helper)細胞は,B細胞の成熟と活性化,抗体産生を制御するヘルパーT細胞である.動物モデルを用いた基礎研究により,自己免疫疾患の病態でTfh細胞が重要な役割を担うことが報告され,治療標的としての注目を集めてきた.実際,ヒト自己免疫疾患患者の末梢血には,Tfh細胞が疾患活動性や自己抗体価と相関をもって増多する.一方,ヘルパーT細胞の分化と機能はマウスとヒトで異なることが指摘されており,ヒトを対象とした臨床免疫学の重要性が認識されている.近年,Tfh細胞と他のヘルパーT細胞サブセットの間には可塑性と多様性が存在することが示された.このことは,さまざまな病原体に対抗するため生体にとり理にかなった仕組みである一方,複合的な自己免疫疾患の発症と遷延化に関与している可能性もある.今後,ヒトTfh細胞における可塑性/多様性の制御機構が解明されることで,病態の本質的な理解,効果的な治療戦略に貢献するものと期待される.

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濾胞性T細胞(Tfh)について 分化段階の“可塑性”とTfh柔軟性が 環境変化への対応の余地を残している。 正直、制御性T細胞が自己への免疫抑制してる くらいの知識しかなくて、自分に驚いた(笑) これは素晴らしい総説だ。 https://t.co/nnI0e7sogy

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