著者
雑賀 広海
出版者
日本映画学会
雑誌
映画研究 (ISSN:18815324)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.4-25, 2017 (Released:2017-12-25)
参考文献数
30

本論文が着目するのは、玩具映画と呼ばれるメディアである。玩具映 画とは、戦前の日本でこどもの玩具として販売された簡単な映写機と短 い 35mm フィルムのことを指す。これを用いてこどもたちは家庭で映画を 上映していた。本論文は、玩具映画で遊ぶこどもの視覚性に、映画館 の観客のそれとは異なり、触覚性が介入してくることを明らかにした。 戦前期において家庭の映画鑑賞に使われたメディアは、玩具映画のほ かに小型映画もあった。しかし、こどもとの関係から見ると、小型映画 は教育目的で使われることが多く、したがって、こどもは受動的な姿勢 が要求された。玩具映画の場合、それが玩具であるということによって、 こどもは能動的なアクションをとる。つまり、こどもの視覚性のなかに、 玩具に触れるという触覚性が介入してくるのである。こどもと玩具映画 が結ぶこうした遊戯的な関係性は、現代のメディア環境を考察するうえで も重要な概念となるという結論に至った。

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アロイス・リーグルの触覚性についての文献を調べていたら、雑賀広海さんが僕の2010年に書いた映画教育運動についての論文を引用してくださった『映画研究』の論文をたまたま見つけた。「玩具映画の受容における視覚性と触覚性」。めっちゃ面白… https://t.co/w3kWfHxEIO
https://t.co/xwbfOxeZHt 昔の玩具映画についてのこの考察面白い。。

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