著者
林 三千雄 中井 依砂子 藤原 広子 幸福 知己 北尾 善信 時松 一成 荒川 創一
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.317-324, 2015 (Released:2015-12-05)
参考文献数
13
被引用文献数
3 7

2007年1月から2012年12月までに当院血液内科病棟の入院患者より分離されたmetallo–β-lactamase (MBL)産生緑膿菌24株について細菌学的,遺伝子学的解析を施行すると共に,その患者背景を調査した.POT法を用いた遺伝子タイピングでは24株すべてが同一株と判定された.患者リスク因子では抗緑膿菌活性のある抗菌薬使用が21例,末梢静脈カテーテル留置が20例,過去一年以内のクリーンルーム入室歴が18例であった.器具の洗浄消毒方法の見直し,手指衛生や抗菌薬適正使用の徹底などを実施したが血液内科病棟における新規発生は減少しなかった.環境培養の結果などから伝播ルートとして温水洗浄便座を疑い,同便座ノズルの培養を行ったところMBL産生緑膿菌保菌者が使用した便座ノズルの27.2%から同菌が検出された.2013年1月,温水洗浄便座の使用を停止したところ新規のMBL産生緑膿菌検出数は減少した.その後,同便座の使用を再開したところ再び増加したため,2014年1月以降使用を停止した.血液内科病棟への入院1000 patints-daysあたりの新規MBL産生緑膿菌検出数をMBL産生緑膿菌感染率とすると,温水洗浄便座使用時は0.535,中止中は0.120であった(p=0.0038).血液内科病棟における温水洗浄便座の使用はMBL産生緑膿菌院内伝播の一因となり得ると考えられた.

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温水洗浄便座汚染が伝播の一因と考えられたmetallo-β-lactamase産生緑膿菌集団感染事例の検討.環境感染誌Vol. 30 no. 5, 2015 https://t.co/eIG8OtOyv0
温水洗浄便座汚染が伝播の一因と考えられた metallo–β-lactamase 産生緑膿菌集団感染事例の検討 林三千雄, 中井依砂子, 藤原広子, 幸福知己, 北尾善信, 時松一成, 荒川創一 日本環境感染学会誌 30 (5), 317-324, 2015 https://t.co/V5BIU2zire
「温水洗浄便座汚染が伝播の一因と考えられたMBL産生緑膿菌集団感染事例の検討」 https://t.co/PsL75Vovdv 気になって調べたことあるけど、実際に媒介してることもあるんだなーって
@osanpogo5 梅毒は便座で感染はないようだけど、緑膿菌で集団感染があったのは注意 https://t.co/hMbSlo20Dc
やはり公衆便所のウォシュレットはやばいらしい https://t.co/Y71VM2TTlg
@hironyauji 本気で、温水洗浄便座の買替をお勧めいたします。 動画を拝見する限り、逆流した汚物が噴射ノズルにかかっておりますので、体内に雑菌が入る可能性があります。取り返しのつかない病気になる前に買い替えを。上の階の方には買い替え代も請求を。 以下、科学的根拠となる論文 https://t.co/hyfhZswQjZ

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