著者
則末 泰博 藤谷 茂樹
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.735-737, 2015-12-28 (Released:2015-12-28)
参考文献数
6

80代の遺伝性出血性毛細血管拡張症および肺動静脈奇形の既往のある女性。呼吸困難感にて来院し,高濃度酸素投与で反応しない低酸素血症を呈していた。気管挿管および陽圧換気開始直後に著しい低酸素血症の増悪を呈し,気道内圧を低下させることにより低酸素血症の改善が認められた。これは,陽圧換気による肺血管床の伸展から肺毛細血管の内径が減少することにより肺血管抵抗が増加し,相対的に肺血管抵抗の低い動静脈奇形に血流が集中し,右-左シャントが増加したためと考えられる。緊急の肺動静脈奇形塞栓術により,低酸素血症は改善し,無事退院した。解剖学的右-左シャントが存在する患者に対し,陽圧換気が酸素化を悪化させる可能性を考慮する重要性を認識させられる症例であった。

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全麻導入後に陽圧換気するとSpO2が80%台になり、換気を止めるとSpO2が上昇する、という現象の話を昨日初めて聞いた。多分こんな感じで右左シャントなんだろうけど、実際に直面したらビビるだろうな。 https://t.co/0FbXBHDl24

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