著者
熊倉 泰久 増田 勝紀 加藤 明 鈴木 方紀子 高島 みさ子
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.713-722, 2008 (Released:2012-03-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1

我々は, 人間ドックの上部消化管検診として内視鏡検査を積極的に導入し, 一次スクリーニングを行っている。その対象となる主な胃病変に関し, 2005年の一年間にドック内視鏡検診を行った症例を検討対象とし, 背景の胃粘膜萎縮と病変の存在との関連を調べ, 高危険群の検討を行なった。また逐年受診の際の病変に対し, 前年判定の胃粘膜萎縮も合わせて検討した。「胃癌」「胃腺腫」症例では, 全例でC2以上の背景胃粘膜萎縮を有していた。男性, 特にO1, O2萎縮症例では, 高率に胃癌を認めた。背景に広範な胃粘膜萎縮を有するC3-O1, O2-O3の症例では, C2以下の症例を基準とすると, 胃癌のオッズ比が有意に高値であった。また胃粘膜萎縮C0, C1であった症例からは, 翌年の内視鏡検診にて胃癌は認めなかった。以上より, 胃癌検診において, 胃粘膜萎縮は重要な背景因子であることが再確認された。胃内視鏡検診としては, C2, C3以上を胃癌高危険群とし症例の絞りこみを行い逐年検診とすることがひとつの目安となり, C0, C1の場合は, 胃がん検診の観点からは翌年の内視鏡検診は不要と考えられた。ドック内視鏡検査は, 胃癌だけでなく, 食道炎・食道癌・胃十二指腸潰瘍などもその対象であり, 初回は内視鏡検査を行うことが多い。したがってその後の個々の絞り込みが重要であり, 限られた医療資源の中で効率の良い内視鏡検診を構築していく上で, 背景の胃粘膜萎縮は重要な評価項目である。

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