- 著者
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福江 良純
- 出版者
- 日本図学会
- 雑誌
- 図学研究 (ISSN:03875512)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.Supplement1, pp.145-150, 2007 (Released:2010-08-25)
- 参考文献数
- 4
彫刻の古典的模刻技法に「星取り法」と呼ばれる方法がある。古代ギリシャに原理的な起源を持ち、複雑な人物像を、大理石から写実的に彫り出すために発達した、機械的転写の技法である。だが、彫刻家の創意はこの技法を用いながらも、複製だけでなく同形のオリジナル作品を作り出すことが出来る。そこには形と質という二つの形態の現れ方への重心の移動が働く。したがって、この技法が模刻技法である所以の解明は、芸術作品の複製とオリジナルという造形的な問題の構造を明らかにする手掛かりとなる。その際有効なのが、一切の機械的手法に依らない「直彫り法」との対比であり、感覚と形態の間に介在するラインの感覚の考察である。「星取り法」による形状の固定作用を図の固定的性格から説明し、作品のオリジナル性については、「直彫り法」に見られるライン感覚のダイナミズムに根拠を求めてみた。