著者
吉富 志津代
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.17-32, 2006 (Released:2017-03-28)

世界のグローバル化に伴い、日本社会を構成する住民がますます多様になっていく状況において、地域では対症療法的にさまざまな取り組みが行われている。本稿では、国籍などによって阻まれるものではない「人権」が守られ、すべての住民の伝統・文化を尊重し、その活力が生かされる多文化共生社会の実現に向けて、より有効な役割を果たす新渡日外国人自助組織に着目する。自助組織を、地域住民として暮らすための自助・互助の目的でさまざまな活動を展開するという明確な意識をもった組織と定義づけ、兵庫県で筆者が実際にその形成に深く関わった新渡日外国人自助組織である「関西ブラジル人コミュニティ」の形成プロセスを考察する。本稿の目的は、その形成を通して、外国人自助組織と市民団体や行政などの日本社会側それぞれについて、意識の共有、具体的な協働、制度における必要要素を分析し、自助組織の自立支援の必要性と具体的な方策を明らかにする。また、将来これを公的施策として実現可能な具体的な提案を試みるための基礎研究と位置づける。

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J-STAGE Articles - 新渡日外国人による自助組織の形成プロセス : 兵庫県における事例から https://t.co/J6TndQ8k9h

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