著者
嶋本 康広 佐藤 孝義 花形 吾朗 池内 義弘 西田 元之 松野 一郎
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.147-160, 2022 (Released:2022-08-24)
参考文献数
37

ビタミンKは血液の凝固や骨代謝に関与している脂溶性の機能性分子である。植物油にはフィロキノン (ビタミンK1) のみが含まれるが, 乳類には極性がフィロキノンより高く, トリグリセリド等の夾雑物に性質が近いメナキノン-4 (ビタミンK2) が含まれるため分析法を開発する上で夾雑物除去の前処理条件が重要なポイントとなる。われわれはエコフレンドリーな分析法の開発を目的として前報では手作業で検討を行い, シリカゲルカラムによる夾雑物除去工程においてシリカゲルと環境負荷に影響を与える有機溶媒の使用量を従来法よりも大幅に削減した効率的分析法を報告した。本報では自動固相抽出装置を導入したことによりシリカゲル処理に張り付く拘束時間を大幅に削減することができた。装置を用いてさらなる効率化を検討し, 脂質量に応じてカラムをスケールアップ/ダウンする際にシリカゲルと溶出液の量を最適化できる式を導出した。式に基いて設定した条件を用いると装置を用いず手作業でも同等の精度で分析可能だった。本分析法を用いればこれまでよりも少ない量のシリカゲルと有機溶媒を用いてさらに効率的にビタミンKの分析を行うことが可能になる。

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