著者
木村 恵子 西村 弘行 木村 いづみ 岩田 伊平 水谷 純也
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.343-347, 1984-08-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
18
被引用文献数
5 4

タマネギを油で炒めると非常に香ばしい風味を生じるが, タマネギをシリコーンオイルで炒めることによっても, よい香りが生じた。そこで, 種々の夾雑物を避けるために, タマネギをシリコーンオイルで炒め, 生じた香気成分をGC-MSによって同定した。そして, 生タマネギの香気成分と比較した。さらに, 炒めたタマネギの香気成分をカラムクロマトグラフィーで分画し, よい香りがどのフラクションに溶出されるかを検討した。1) シリコーンオイルを入れ, 140℃に調節した電気鍋の中に, みじん切りにしたタマネギを加え, 25分間炒めた。急冷後, エーテルを加え, ナイロンゴースで搾った。搾り汁はエーテルを除去し, 4時間水蒸気蒸留して, 炒めたタマネギの香気成分を調製した。収率は, シリコーンオイルの熱分解物も含めて4mg%であった。2) GC-MSから, 炒めたタマネギの主成分は, 2, 4-dimethylthiophene, methyl propyl trisulfide, propylpropenyl trisulfide (cisおよびtrans) であったが, これらの化合物はネギ臭がし, 香ばしい匂いではなかった。3) 生タマネギの香気成分 (エーテル抽出物) では, 2, 3-dimethylthiophene, propyl propenyl disulfide (cisおよびtrans), dipropyl disulfide, dipropyltrisulfideが主成分であった。生タマネギに比べると, 炒めた場合は, より安定なtrisulfide類が増加した。4) 炒めたタマネギの香気成分を, カラムクロマトグラフィーによって分画すると, 単独では香ばしい匂いのするフラクションは見あたらなかった。しかし, いくつかのフラクションを混ぜ合わせると, 香ばしい匂いに近づいた。

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タマネギの加熱による香気成分の変化 https://t.co/2COJpHmjOU どの物質が、とかではなくて、複数混ざるとあの良い香りが生み出されるらしい

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