- 著者
-
堀向 健太
- 出版者
- 一般社団法人日本小児アレルギー学会
- 雑誌
- 日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.5, pp.749-757, 2019 (Released:2019-12-31)
- 参考文献数
- 36
アレルゲンとしての花粉を飛散させる植物は木本類, 草本類に大別され, 草本類としてイネ科のオオアワガエリやカモガヤ, キク科のブタクサ・ヨモギなどが知られている. アトピー性皮膚炎や食物アレルギーのある児は草本類花粉に対する感作率が高く, スギやヒノキ花粉に比較し飛散距離は短い草本類花粉に対する感作は, 周囲の植生の影響を強く受けることがわかっている. イネ科植物は共通抗原性が強く, 主要アレルゲンはPhl p 1やPhl p 5と考えられている. 一方, キク科花粉は属により抗原性は大きく異なり, それぞれを区別して考える必要性がある. そしてブタクサ花粉はAmb a 1とAmb a 11, ヨモギ花粉はArt v 1が主要なアレルゲンである. これらの花粉は花粉−食物アレルギー症候群 (PFAS) の原因となり, イネ科花粉は, Phl p 12, ブタクサではAmb a 8, ヨモギではArt v 3やArt v 4が交差抗原となると考えられている.