著者
岡崎 雅子
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.101-119, 1989-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
59

顎関節症の予防的管理上必要とされる顎関節雑音の客観的診査方法の確立を目的として対照群(11関節),クリック音群(13関節)および捻髪音群(4関節)の顎関節雑音の音響学的分析を行った。さらに,顎関節雑音を有する者の顎運動機能の状態を知る一手段として, 対照群( 1 1 名) , クリック音群( 8 名) の下顎切歯限界運動路と咀嚼筋筋電図の記録解析を行い顎関節雑音分析の臨床的意義について検討した結果,以下の結論を得た。1.顎関節雑音は外耳道部から明瞭な記録が得られた。2.顎関節雑音の原波形について,クリック音群は捻髪音群に比べて持続時間が短く立上りが急であった。パワースペクトル分布は捻髪音群が最も高域まで分布し,続いてクリック音群が高く,対照群は最も低かった。3.下顎切歯限界運動路について,クリック音群は対照群に比べ運動路のバラツキが大きい傾向が示された。4.咀嚼筋筋電図について,クリック音群は対照群に比ベタッピングにおけるSP出現頻度が低く,SPDが短縮する傾向が示された。また,クリック音群は対照群に比ベガム咀嚼時の持続時間,間隔および周期が長いことが示された。5.以上のことから,顎関節雑音を有する者は顎機能障害が潜在している可能性が高いことが示唆され,顎関節雑音を顎関節症の予防的管理に用いることは有効であると考えられた。

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