著者
荒井 清司 松井 智 松根 健介 呂 朋君 曹 宏 西村 眞 辻本 恭久 松島 潔 前田 隆秀
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.481-486, 2007-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
20

著者らは,ラットの露髄面に新規ハイドロキシアパタイトに炭酸カルシウムもしくはβ-TCPを含有させ,覆髄材としての有効性を報告した.そこで,本研究では,ヒト歯髄培養細胞における炭酸カルシウムの硬組織形成能を解明する一助として,細胞増殖試験ならびに硬組織形成の分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)を指標とし,検討を行った。炭酸カルシウムは,1mM,100μM,10μM,1μMの濃度を含有させた培地に最大12日間作用させた。培養24時間後の細胞毒性試験において,各濃度の炭酸カルシウム作用群において著しい細胞毒性は認められなかった。また,細胞増殖試験において,10μM炭酸カルシウム作用群をピークとして,細胞数の増加が認められた。培養3日後の細胞にアゾ染色を行い,10μM炭酸カルシウム作用群において,ALPの濃染が認められた。また,培養12日目のALP活性においても10μM炭酸カルシウム作用群をピークとし,無添加のコントロール群と比較し,有意な差が認められた。以上のことから10μMの炭酸カルシウムをヒト歯髄培養細胞に作用させることで,硬組織形成能を促進させる可能性が示唆された。

言及状況

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@DNa_nonGM 人体の場合、炭酸カルシウムの利用は歯に見られます。医学系論文でヒトの炭酸カルシウム形成のメカニズムに触れたものがありました>https://t.co/eW9EIN90Bu 骨のリン酸カルシウムについては「オステオポンチン」「オステオカルシン」あたりで検索を。

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