著者
外山 寛 田中 弘之
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.141-149, 1985-06-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
24

塩分摂取量の多寡が運動時の生体に及ぼす影響について検討する目的で健常な成人男子5名を対象に, 高塩分食および低塩分食をそれぞれ6日間摂取させた後, 65%VO2max.の強度で30分間の持久的運動を負荷した.さらに, 同一被検者1名に対して低塩分食を4週間摂取させ, 1週間ごとに70%VO2max.の強度で60分間の持久的運動を負荷し, 以下のような知見を得た.1.高塩分食摂取下では運動中の心拍および最大血圧の応答が低く, また, 血清BUN値の低下が認められた.2.低塩分食摂取下では運動負荷によって血清CK-MB活性値の血清CK活性値に対する比率が上昇し, クレアチニン・クリアランス値は低値を示し, その回復も遅れた.また, 血糖値の低下と血清BUN, 尿酸, トリグリセライドの各値の上昇を認めた.3.尿中へのNa排泄量は塩分摂取量の変化に伴い増減した.K排泄量は高塩分食摂取下では普通食摂取下と差異を認めなかったが, 低塩分食摂取下では増加した.これらの結果から, 塩分摂取量の急激な変化はそれ自体で生体にとってストレスとなり得る可能性を有し, このような状況下での運動実施には慎重な配慮が必要であると思われた.

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