- 著者
-
杉山 康司
青木 純一郎
- 出版者
- The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
- 雑誌
- 体力科学 (ISSN:0039906X)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.3, pp.173-180, 1990-06-01 (Released:2010-09-30)
- 参考文献数
- 44
- 被引用文献数
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1
本研究の目的は高酸素気吸入トレーニングが平地での全身持久力に及ぼす効果を明らかにすることであった.日常規則的な持久性のトレーニングを行っていない男子体育学部生12名を被験者とし, 正常気吸入トレーニング群 (正常気群) および高酸素気吸入トレーニング群 (高酸素気群) に2分した.高酸素気群のトレーニング強度は高酸素 (60%酸素) 吸入時に得られたVo2maxの85%, 正常気トレーニング群の強度は空気吸入時に得られたVo2maxの85%とした.トレーニング時間は高酸素気群を10分とし, 両群の仕事量を等しくするために, 正常気群は10分22秒から11分30秒とした.また, トレーニングの頻度および期間は両群とも週3日および4週間であった.この結果, 正常気群ではオールアウトタイムが17分18秒±1分37秒から19分7秒±1分53秒および乳酸閾値が19.6±4.3ml/kg・分から23.0±4.5ml/kg・分にそれぞれ有意に向上した.Vo2max, 最大換気量およびトレーニング中の心拍数には変化は認められなかった.一方, 高酸素気群ではオールアウトタイムが17分56秒±1分24秒から19分33秒±1分41秒および乳酸閾値が19.7±3.0ml/kg・分から24.9±4.0ml/kg・分に有意な向上を示したことに加え, Vo2mmxおよび最大換気量にそれぞれ46.1±4.6ml/kg・分から51.0±4.3ml/kg・分および117.3±13.8l/分から135.1±18.4l/分の有意な増加が認められた.さらに, トレーニング中の心拍数については有意な減少が認められた.以上の結果から, 高酸素気吸入トレーニングは全身持久力のうちVo2maxを指標とする呼吸循環機能を改善させるのに正常気吸入トレーニングよりも効果的であると結論された.