著者
黒木 浩史
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.1346-1353, 2023-11-20 (Released:2023-11-20)
参考文献数
38

側弯症学校検診は1963年にアメリカのミネソタ州で開始され,その後,世界中に側弯症学校検診モデルが拡散した.2018年までに出版された文献をもとにした調査で,側弯症学校検診の実施が確認できた国は本邦を加え23ヶ国で,うち4ヶ国(イギリス,ノルウェー,カナダ,オーストラリア)では,現在中止されていた.検診方法の多くは前屈テストであり,スコリオメーター,モアレ,シルエッターでの評価を単独であるいは併用し実施している国々もあった.各国の検診の有効性に関する考え方については,肯定が16ヶ国,否定が4ヶ国,合意なしが3ヶ国であった.国家レベルでの検診の法制化に関し,本邦以外で確認が取れた国はなく,検診実施国であっても自治体ごとで違いがあるなど,国ごとに状況は様々であると推測された.以上より,検診意義に関する意見の統一がなされていない中,各国独自に,検診の導入を判断し,それぞれのシステム,方法で検診事業を運営している現状が明らかとなった.またここ最近,これまで側弯症学校検診に関する報告のなかったロシアからも側弯症学校検診に関する総説が発刊されており,側弯症学校検診に対する国際的な方向性は前向きであると考えられる.

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PDFあり。 ⇒黒木 浩史 「世界の側弯症学校検診―歴史的背景と昨今の情勢―」 『Journal of Spine Research』14巻11号 (2023) https://t.co/71Egx9h897

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