著者
宮地 弘子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.220-238, 2012-09-30 (Released:2013-11-22)
参考文献数
12

ソフトウェア開発エンジニアたちは, エンジニア職の自律性が尊重された職場において, 燃え尽きにまでいたるほど自発的に労働に没入している. このような自発的・没入的労働は, 従来, 企業が設計した文化的規範をエンジニアたちが内面化してそれに随順した, 規範的統制の結果として考えられてきた. 本稿は, 大手ソフトウェア開発企業X社を事例として取り上げ, エンジニアたちへのインタビュー調査をもとに, 現場の文化的規範であるを抽出した. エンジニアたちの自発的・没入的労働の語りは, 一見, 内面化したに随順し続けた物語のように解釈可能であった.しかしながら, 本稿は, エンジニアたちの語りを「人々の社会学」の視角から分析することで, 規範への随順に回収することのできない語りの意味を明らかにした. エンジニアたちは職場の文化的規範を一様に内面化し, 厳しい労働に没入しているのではない. エンジニアたちは, に象徴されるX社の現場に特有の常識的知識を解釈枠組みとして, 他者の語りの意味を不断に読み替え, またその裏で, を語ることで自己の関心をしたたかに追求し続けるという相互行為によって協働を達成し, 結果として, 燃え尽きにまでいたる厳しい労働に巻き込まれていくのである.

言及状況

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エンジニアの文化規範である〈コード〉に巻き込まれて燃え尽きていく様、どう受け取っていいかまだわからない https://t.co/8vxNJwrVTI
「デスマーチはなぜなくならないのか」、元ネタの著者論文がフリーで公開されてる。 本に書いてある内容はこの論文を基に分量を水増ししただけ。 https://t.co/RjZIvBBZAE
これは。>『筆者は, 2006 年までの約 8 年間にわたり,エンジニアとしてソフトウェア開発企業 2 社に勤務し,その間,数年間にわたって,X 社開発部門の現場を内側から直接的に体験できる立場にあった』 https://t.co/bc7kvPlW2d
筆者のかたの論文。このかた自身がかつてソフトウェア開発に関わっていたそうなので、コード(プログラム)と<コード>(文化的規範)を重ね合わせて、自分良いこと書いているわーとか思ったりしておられたのであろうか。> (PDF) https://t.co/bc7kvPlW2d
2012年の論考 “ソフトウェア開発現場における自発的・没入的労働の相互行為論的考察” https://t.co/Fffu7siG9a
本が届く前にネットに上がっていたこちらを拝読。  『ソフトウェア開発現場における自発的・没入的労働の相互行為論的考察 「人々の社会学」の視角から』 https://t.co/fB80NTdfpN https://t.co/zABow4ZsFH
ソフトウェア開発現場における自発的・没入的労働の相互行為論的考察 「人々の社会学」の視角から 宮地 弘子 https://t.co/tw7z6tVZ4U
次。 宮地弘子(2012) 「ソフトウェア開発現場における自発的・没入的労働の相互行為論的考察:「人々の社会学」の視角から」 http://t.co/Af9TdXee0h
「人々の社会学」#とは / “宮地弘子(2012)「ソフトウェア開発現場における自発的・没入的労働の相互行為論的考察:「人々の社会学」の視角から(公募特集・社会学理論とフィールドの互酬性)」(社会学評論 6…” http://t.co/Af9TdXee0h #sociology

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