著者
山田 昌弘
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.649-662, 2013 (Released:2015-03-31)
参考文献数
53

近代家族は, 近代社会において人々を, 経済的, 心理的に社会的に包摂する装置として形成された. 日本を例に取ってみると, 戦後から1980年代ごろまでは, ほとんどの人がこの近代家族を形成することが可能であった. しかし, 近代家族が頂点となった80年ごろ, 言説の中で, 近代家族規範の抑圧性に注目が集まり, 近代家族からの解放を目指す動きが起きた.1980年ごろから先進国で始まる経済のグローバル化に象徴される経済構造の転換は近代家族の経済基盤を壊し, 個人化の加速が近代家族規範の有効性を低下させる. その結果, 近代家族を形成・維持できない人々が増大する. 欧米先進国の一部では, 家族の中に閉じ込められていた諸要素 (家計, ケア, 親密性, セクシュアリティなど) が分解して, 独自のメカニズムで動くようになる.日本でも, 1990年代半ばから経済の構造転換や個人化の影響を受け, 未婚率, 離婚率の上昇が顕著である. その結果, 日本では, 近代家族を形成・維持できる人々と, それからこぼれ出る人々に分裂していると判断できる. しかし, 近代家族形成以外に, 経済的自立やケア, 社会的承認のモデルがないため, 近代家族への意識上の回帰現象がみられる.この近代家族に属している人といない人への分裂傾向は, 家族社会学だけでなく, 他の社会学の実証分野にも大きな影響を及ぼすであろう.

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日本家族のこれから: 社会の構造転換が日本家族に与えたインパクト【特集論文】 山田 昌弘 #社会学評論 64(4):649-62 (2014) 全文 http://t.co/v9uO12enDR modern #family & social change in #Japan

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