著者
仁平 典宏
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.485-499, 2005-09-30 (Released:2010-04-23)
参考文献数
41
被引用文献数
16 4

ボランティア活動に対しては, 国家や市場がもたらす問題への解決策として肯定的な評価がある一方で, ネオリベラリズム的な社会編成と共振するという観点から批判もある.本稿は, 既存の議論を整理し, ネオリベラリズムと共振しないポイントを理論的に導出することを目的とする.既存の議論における共振問題は, ボランティア活動の拡大が, ネオリベラリズム的再編の作動条件を構成するという条件の水準にあるものと, 再編の帰結に合致してしまうという帰結の水準にあるものとに整理される.条件の水準では, 公的な福祉サービス削減の前提条件とされる問題と, システムに適合的で統治可能な主体の創出のために活用されるという問題が指摘され, 帰結の水準では, 社会的格差の拡大とセキュリティの強化という帰結と一致するという問題が指摘されてきた.本稿では, これらの共振が絶えず生じるわけではなく, それぞれに共振を避けるポイントが存在していることが示され, それが, 共感困難な〈他者〉という, これまでのボランティア論において十分に想定されてこなかった他者存在との関係を巡って存在していることが指摘される.

言及状況

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この論文、これだけ多文化共生が叫ばれているのに地域日本語教育がボランティアに依存したままの状況を把握するためのヒントになりそう。 仁平 典宏2005「ボランティア活動とネオリベ ラリズムの共振問題を再考する」https://t.co/nXwqfMMSrW
https://t.co/4J7908aYaR ネオリベラリズムとボランティアは共振性があるという内容。 「善意」の無償奉仕活動は、結果的にネオリベをフォローアップしている側面がある。
興味深い論文があった ○趣旨 「われわれを他者が苦しめる」という構図から 「われわれと他者を対立させ、苦しめる社会的問題がある」 という構図へと転換することで 他者を共感 ・連帯可能な相手として捉える 私がニューロダイバーシティを語る時に、「社会の https://t.co/HqeImoMETg
https://t.co/Elft5bja7Z npo
文脈を辿れば新自由主義的な考え方との結びつきが強いので、タイムリーな視点も含め、以下の資料を挙げておきたいと思います。が、特に専門ではない&ざっくり調べただけなのでそこはご参考程度でお願いします
jstageで読める>https://t.co/DqQXWCvRmH
「第3の道」とネオリベラリズムの共振性? 仁平典宏「ボランティア活動とネオリベラリズムの共振問題を再考する」 https://t.co/vE24HGdhIx
https://t.co/ZvcvacLF3Y
福祉とネオリベの関係がよくまとまっていて素敵な論文でした。 『ボランティア活動とネオリベラリズムの共振問題を再考する』 [社会学評論, Vol.56, No.2 (2005), PP. 485-499] 仁平 典宏 https://t.co/y18ukSsMUP
仁平典宏「ボランティア活動とネオリベラリズムの共振問題を再考する」 https://t.co/I9jJ9B7zAo

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