- 著者
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寺本 信嗣
- 出版者
- 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
- 雑誌
- 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.2, pp.231-235, 2012-10-31 (Released:2016-04-25)
- 参考文献数
- 13
経口摂取困難な高齢者や誤嚥性肺炎を繰り返す高齢者に対する,栄養摂取は重要な課題である.このような高齢者では,経口摂取を一時的に中止し,経管や経静脈的な栄養管理が必要になる.この際,経皮内視鏡的胃瘻増設術percutaneous endoscopic gastrostomy(PEG)は,重要な選択肢の一つである.しかし,PEGは優れた栄養療法であるが,不顕性誤嚥に対する十分な予防策ではない.脳梗塞後の患者で早期に栄養介入を行うことは予後を改善するが,PEGを選択することで肺炎が減るわけではない.したがって,PEGによる栄養療法を導入する場合,平行して肺炎予防策を講じる必要があり,食事を摂っていなくとも,口腔ケア,嚥下リハビリテーションを行い,胃腸の蠕動運動の改善,胃食道逆流の予防などを行うことが大切である.