- 著者
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本間 栄
- 出版者
- 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
- 雑誌
- 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.1, pp.105-111, 2014-04-30 (Released:2015-11-13)
- 参考文献数
- 19
特発性肺線維症は治癒が期待できない慢性進行性疾患であるため,改善にいたらないまでも悪化を阻止することが到達可能な治療目標である.治療を開始すべき正確な時期はいまだ不明であるが,回復不能の線維症へと進展する前の初期段階で治療を開始したほうが治療効果は高いと考えられている.慢性増悪期の経時的予後不良因子として6~12ヵ月間で呼吸困難増悪,肺活量(FVC:10%<),拡散能(%DlCO:15%<)の低下,蜂巣肺の進展などがあげられ,これらの因子が複合的に観察された場合には抗線維化薬としてN-アセチルシステインあるいはピルフエニドンを開始する.IPF の急性増悪は安定期においても,感染などを誘因に生じうるが,発症時にはただちに治療を開始する.ステロイドパルス療法に加え免疫抑制剤,PMX-DHP 療法,好中球エラスターゼ阻害薬,低分子ヘパリン,トロンボモジュリンなどの併用療法が施行される.