著者
横山 芳春 大井 信三 中里 裕臣 安藤 寿男
出版者
The Sedimentological Society of Japan
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.55, pp.17-28, 2002-11-20 (Released:2010-05-27)
参考文献数
34
被引用文献数
3

茨城県東茨城台地西部において下総層群“見和層”及び涸沼段丘礫層を対象に堆積相解析, 火山灰鍵層の対比および地形学的考察を行った結果, 以下のことが判明した. 本地域の層序は,“見和層”サイクル1,“見和層”サイクル2, 涸沼段丘礫層に区分することができる.“見和層”サイクル1は泥質なエスチュアリー成堆積物から形成され, 古涸沼川が形成した開析谷とその埋積物からなる.“見和層”サイクル2は, 上位段丘面を構成し. 東茨城台地西部で内湾成の堆積相が, 東部で外洋成の堆積相が発達することから, 潟・バリアー島システムによって形成された可能性が高い. 潟・バリアー島システムを反映した堆積相分布は, 離水後の微地形や水系発達に大きな影響を与えた. すなわち, バリアー島内湾側では潟の泥質堆積物が保存され, 広く浅い谷が形成された. さらに, 泥質堆積物は水系分布を制約し, 扇状の分岐や大きく屈曲する水系が形成された. 一方, 外洋側では浜堤平野を形成した浜堤列群が保存され, 北東から南西方向の浅い谷の凹地と微高地の凸地が発達したものと解釈される.

言及状況

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約13万年前、海面が高く関東平野に深く海が入っていた時期の砂州と、海が引いていく時の砂丘列の地形や堆積物が、いまの台地の表層地形にも関係しているという話。私が修士課程二年時の投稿論文です。 縄文海進期最盛期の地形の名残は、低地により色濃く残るはずです。 https://t.co/PK0REiSN8U
私は「地形・地質が専門」と自称していますが、大学生時代まで、さほど地形は意識していませんでした。 大学4年生末期に、大井信三博士(当時 #国土地理院 地理調査部)と出会い、意気投合して地形の観点から地質を見る大事さを学んだことが原点でした。 当時の論文の一つ。 https://t.co/pSfoabUTDn
東茨城台地の涸沼川流域には、北東〜南西方向の谷がみられます。 台地をつくる地層を見ると、砂浜の地層の高さと厚さが変化しており、12万年前に海が引くときの砂丘列の影響であると考えられます。 国土地理院の方と歩いて、地形と地層の関連の面白さに気づいた場所です。 https://t.co/PK0REiADUM https://t.co/N5IXB8qFBM

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