- 著者
-
湯淺 墾道
- 出版者
- 日本セキュリティ・マネジメント学会
- 雑誌
- 日本セキュリティ・マネジメント学会誌 (ISSN:13436619)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.3, pp.45-51, 2019-01-25 (Released:2019-03-25)
近年、インターネット上におけるフェイクニュースの流布・拡散が、セキュリティに関する問題の一つと
しても取り上げられるようになってきている。フェイクニュースは経済活動や社会生活の基盤である民主主
義自体を脅かすものとなっており、サイバーセキュリティの一問題として捉える見方も現れている。EU は、
2019 年の EU 議会議員選挙を控えて、フェイクニュース対策を行っている。ENISA が虚偽情報流布活動と
その対策について技術的要素と人的要素の両面から分析を行い、フェイクニュース流布・拡散の土壌となっ
ているプラットフォーム事業者に対しては、2018 年 7 月までに共通の行動規範 (a common Code of Practice) を策定して遵守することを求めた。他方で日本においては、フェイクニュースを法的に規制することはきわめて困難であるとされており、フェイクニュース対策はセキュリティ・マネジメントの概念にも影響を与える可能性がある。