著者
鵜沼 憲晴
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.13-24, 2001-03-25 (Released:2018-07-20)

昨年6月に改正された社会福祉法総則は,社会福祉事業法から大幅に改正されたにも関わらず充分検討されていない。本稿は,これを解釈・検討し,問題点の提起を目的とする。(1)対象では,「社会福祉を目的とする事業」の範囲を史的変遷を踏まえながら明らかにし,またそれに含まれる事業が改正法において明示されていないことを問題とした。(1)法目的達成手段では,新設された「福祉サービス利用者の利益の保護」について,契約制度に移行した社会福祉事業による福祉サービス利用者のみを対象とした利益保護では不充分であること,利用者の権利体系構築の必要性等について考察した。(2)理念では,「福祉サービスの基本的理念」を中心に考察し,「個の尊厳」とは「人間の尊厳」と「個の尊重」との融合概念であること,「その有する能力に応じ」た自立支援では「能力」によって自立の範囲及び支援内容が制限される危惧を示した。最後に,社会福祉法全体の評価を行うとともに,社会福祉法が「基本法」となるための法律学的検討課題として憲法13条・25条との関連の追求を提起した。

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「結局、社福法とは、契約制度・市場原理の導入を市場命題とし、その国民的理解を得るための手段としての最小限度での「利用者の概念を」取り入れたに過ぎないもの」 鵜沼 憲晴(2001)「社会福祉法総則に関する考察:対象、目的、理念を中心として」 https://t.co/etC49HIjkJ

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