著者
佐藤 祥一郎
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10605, (Released:2018-02-27)
参考文献数
40

脳出血急性期の血圧上昇は,転帰不良の強力な予測因子である.発症6 時間以内の急性期脳出血に対する積極降圧療法(目標収縮期血圧<140 mmHg)の有効性を検討したThe Intensive Blood Pressure Reduction in Acute Cerebral Haemorrhage Tria(l INTERACT)2試験により,急性期の積極降圧療法が機能的転帰を改善することが示され,国内外のガイドラインの記載が相次いで改訂された.しかし,最近発表されたAntihypertensive Treatment of Acute Cerebral Hemorrhage(ATACH)-II 試験では,発症4.5 時間以内の患者を対象に,より厳格な降圧療法の効果を検討したが,転帰改善効果は証明されなかった.したがって,脳出血急性期における降圧目標の下限や最適な降圧方法に関してはいまだ明らかになっていない.脳卒中再発防止における降圧療法の有用性は証明されており,複数のガイドラインで130/80 mmHg 未満のコントロールを推奨している.しかし,これを直接支持する無作為化比較試験のエビデンスは乏しく,現在,国際共同試験Triple Therapy Prevention of Recurrent Intracerebral Disease EveNts Tria(l TRIDENT)が進行中である.

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