著者
篠原 幸人 高木 繁治 小畠 敬太郎
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.364-371, 1980-12-25 (Released:2010-01-22)
参考文献数
21
被引用文献数
2

非侵襲的脳血流測定法である133Xe吸入法により本邦成人の脳血流の正常値, 脳内部位別差異, 左右差などを測定し, また本法の臨床的応用が可能か否かを検討した.脳内に器質的病変を認めない19歳より92歳迄の右利き日本人成人20例, 男女各10名を対象とし, Novo社製32 channel cerebrographを用い一側脳半球平均および脳内32ヵ所のF1, ISI, FF1, W1を測定した.F1の右半球平均値は74.2±15.5ml/100g brain/min, 左74.3±15.3, ISIは右52.9±9.3, 左52.6±8.8であり, あきらかな左右差はみられなかった.平均脳半球血流の左右差の1.96σ2はF1 6.1, ISI 3.3であるが個々の検出器の左右差の1.96σ2はF1 21.6, ISI 8.7であり, 本法による脳内局所の左右差の検討には慎重を要すると考えた.本法による脳内部位別血流をみると前頭部では平均血流より高値を, 後頭・頭頂・側頭部の一部では低値を推計学的に有意に示し, 閉眼覚醒安静状態においでも脳血流は脳内で不均等分布を呈することが明らかとなった.1.本邦正常右利き成人20例 (平均年齢44歳) の脳血流を示す各種パラメータを133Xe吸入法により検討した。2.脳半球平均血流は脳灰白質血流を主として表わすF1で右半球74.2±15.5ml/100g brain/min, 左半球74.3±15.3, Initial slope index (ISI) で右半球52.9±9.3, 左半球52.6±8.8であり, 左右差はみられない.3.脳内各部位別にみると前頭部では平均血流より高値を, 後頭・頭頂・側頭部の一部では低値を推計学的にも有意に示し, 閉眼覚醒安静状態においても脳血流は均等な分布を呈さない事が明らかとなった.

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