著者
中村 信孝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.12-14, 1956-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
1

1) 考案した牛の胃内鉄片摘出器を用い, カウテクター反応陽性の牛から摘出を試みた. 約66%において完全に金属の摘出が可能であった.2) 人工的に嚥下させた釘の摘出を試みたが, 第2胃に沈下した釘は完全に摘出できた.3) 小型の棒状磁石を牛に人工的に嚥下させ, 胃内の鉄片をこれに吸着せしめておき, 本器でこれを摘出する方法を試みた. 投与磁石が第2胃にあれば摘出は可能であった. この試験によって, 本試験のように牛に予め磁石を第2胃内に投入しておき, ある期間の後これを取出せば, 創傷性胃炎, 心嚢炎の予防が比較的容易に実行し得るように考えられしる.4) 第2胃底に沈下したマグネットは径約10cm位遊動するようであるから, この範囲内にある遊離状態にある鉄片はほとんど完全に摘出することが可能と思われる.5) 本器を連続2~3回使用しても牛になんらの障害も起さない. 終りに臨み, 御指導を賜わった農林省家畜衛生試験場北陸麦場長吉田博士, 東大臼井講師に深甚なる謝意を表し, 木器の作成と実繋に対し絶大なる御協力と御援助を賜わった新潟鉄工, 本村技師, 共済連郡支部阿部麦部長, 趣支部今成の諸氏に深謝する.

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