著者
黒田 公美
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.745-753, 2013-11-01 (Released:2014-11-01)
参考文献数
47

人間を含め,哺乳類の子は幼弱に生まれるため,哺乳をはじめとして身体をきれいに保つ,保温する,外敵から守るといったさまざまな親からの養育(子育て)を受けなければ成長することができない.そのため親の脳には養育行動に必要な神経回路が生得的に備わっている.一方,子の側も受動的に世話をされるだけの存在ではなく,親を覚え,後を追い,声や表情でシグナルを送るなどの愛着行動を積極的に行って親との絆を維持している.親の養育が不適切な場合でも通常子から親を拒否することはなく,親をなだめ,しがみつき,何とか良い関係を取り戻そうと努力する.社会や自然界でごく当たり前に営まれている親子関係は,実はこのように親子双方の日々の活動によって支えられているのである.親子関係はすべての哺乳類の存続に必須であるため,子の愛着・親の養育本能を司る脳内メカニズムも基本的な部分は進化的に保存されていると考えられる.したがってマウスモデルを用いた愛着・養育行動研究が,将来的にヒトの親子関係とその問題の解明に役立つことは十分期待できる.本稿では,マウスを用いた最近の研究を中心に,養育行動の概要とそれを制御する分子神経機構についてご紹介する.

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2013年、哺乳類子育て(養育)行動の神経基盤についての日本語記事。"統計にもよるが,現代の米国に生まれた子のうち50~75%は婚外子や離婚などのため10歳の時点で実父とは一緒に暮らしていないという" https://t.co/ehN7l87itP
哺乳類子育て(養育)行動の神経基盤 →https://t.co/zB0M49FnRe

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