著者
山口 不二夫
出版者
日本会計史学会
雑誌
会計史学会年報 (ISSN:18844405)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.39, pp.31-44, 2020 (Released:2022-07-05)

本稿は19世紀初頭の東アジアで活躍した英国商人Country Traderの帳簿のデータの検討を行う。前稿では,すでに1799年の帳簿組織について検討している。本稿は1799年から1814年までのLedgerのなかのデータの変化と帳簿の変化を明らかにする。本商会は4人で始まったpartnership企業であり,最初の2期は剰余金を残さないようにProfit and Loss 勘定のなかで利益をpartner に分配した。ところが業績の低下にともないMagniacが経営に参加する中で,Commissionsやそれにともなって発生したHouse ExpensesをProfit and Loss 勘定に入れる前に分配してしまった。さらにMagniacがpartner に加わってからはLedger が2部作成され,資産負債で構成されたBalance勘定がStock勘定にとって代わり,剰余金が計上されるようになる。また1811-12年期からはJournalも作成されるようになる。最初,このpartnership会社の収入は,Interests,Commissions,Factory からであった。しだいにOpium取引が増加し,1812-13年期にはFactoryを売却し,Raw Silkの取引やOpium取引が主な収入となる。とくに初期にはInterestsで儲ける仕組みになっていたが,1808年以降は金利の支払いのほうが多い期もあった。Commissionsと資金を貸すことでの金利で儲けるビジネスから,実際にOpiumとRaw Silkの取引で儲けるビジネスに変貌しつつあるのである。

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PDFあり。 ⇒山口不二夫 「19世紀初頭Country Traderの会計 Jardine Matheson史料によるBeale Shank Magniac商会の帳簿1799年から1814年」 『会計史学会年報』39号 (2020) https://t.co/lTymoERyHW

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