著者
冨永 和宏 土生 学 吉岡 泉
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.122-132, 2009 (Released:2010-06-15)
参考文献数
23
被引用文献数
1

顎関節症の現在の治療概念を概説した.顎関節症はself-limiting diseaseであるので,治療の方針は可逆的で侵襲の少ないものを選ぶべきである.炎症や咀嚼筋のこりが関節痛や機能障害の原因であるため,特に初期においては投薬での消炎,鎮痛に取り組む.関節の炎症や筋のこりの背景には生活習慣を含むさまざまな寄与因子を基にする過負荷があるため,スプリントだけでなく習慣改善やリラキゼーションプログラムの教育,指導が重要である.投薬などで初期の炎症期を制御した後に開口訓練,マニプレーション,関節パンピング,関節洗浄など開口度を増加させる方法が効果的となる.顎関節は大きな適応能力を持っており,それは顎運動によって活性化する.関節の適応能力を活発にするための理学療法が顎関節症の治療に重要な役割を果たす.寄与因子,予見因子のコントロールと減少が症状減弱後も必要で,それは長期にわたって日課として続けられなければならない.難治性の患者では精神医学的な対応も検討されるべきである.クリックのみの患者や画像上の変化だけで臨床症状の乏しい患者は治療の対象にはならないが,悪習癖を持っているなら習慣改善の教育が勧められる.

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