著者
野間 健吾 西村 知良
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.58-65, 2023-06-25 (Released:2023-06-28)
参考文献数
28

移入種であるカメムシ目カメムシ科キマダラカメムシの地理的分布やその拡大を理解するためには生活史を詳しく知ることが重要である.そこで2020年4月から2021年4月まで神奈川県藤沢市のサクラ類36個体とカツラ11個体に見られる個体数を月に2回の頻度で測定し季節消長を調べた.どちらの木でも1齢幼虫は6月に,2齢以上の幼虫は6月から9月に見られた.成虫は5月から10月に見られたが,その個体数には越冬世代の出現と思われる6月の小さなピークと第1世代の羽化と思われる9月の大きなピークが見られた.このことから調査地では成虫で越冬する年1化の生活史だと考えられた.また1齢幼虫と成虫の個体数のピークの間をふ化から羽化までの期間として成長期間を推定すると約90日だった.国外の個体群の生活史には,高緯度に見られる年1化性から低緯度の多化性まで存在することが知られている.年間世代数で見れば,国内の個体群は高緯度地域の国外個体群に由来する可能性がある.またこれまで寄主植物として知られていなかったカツラにおいて幼虫は成長可能であることが分かった.

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神奈川県藤沢市のサクラ類とカツラにおけるキマダラカメムシの季節消長 https://t.co/kuVd5krdnN みんな大好き?キマダラカメムシ。主に野外観察を通じて、少なくとも藤沢では年一化であるらしいことを示し、またそのことから本種の起源が中国の高緯度地域ではないかと推定。

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