著者
大前 宗之 折原 貴道 白水 貴 前川 二太郎
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第55回大会
巻号頁・発行日
pp.7, 2011 (Released:2012-02-23)

地中に子実体を形成する菌類,いわゆる地下生菌の大部分は外生菌根菌であり,これらは外生菌根性の樹木が分布する地域を潜在的な分布域とする.日本には,様々な外生菌根性の樹木が広く優占しているため,これら地下生菌の多様性も高いことが推察される.しかし,日本における地下生菌の分類学的な研究は著しく遅れており,その多様性の全貌把握には至っていない.HydnotryaはPezizales,Discinaceaeに含まれる地下生菌であり,日本ではこれまでH. tulasnei(クルミタケ)の一種しか報告されていない.しかし,菌根由来のDNAを用いた系統解析により,日本にはより多くの系統群が分布している可能性が示されている.そこで,演者らは,日本におけるHydnotrya属菌の多様性を明らかにすることを目的とし,採集した子嚢果及びGenBankのデータを用い,核rDNAのITS領域,及び28S領域の分子系統解析を行った.その結果,日本におけるHydnotrya属菌は大きく3つのクレード(クレードA, B, C)に分かれた.クレードAはアジア,北アメリカ,ヨーロッパの種から構成され,その中で,日本産標本は,韓国の外生菌根から検出されたHydnotrya属菌と単系統群を形成した.クレードBは日本産標本のみから構成され,クレードAの姉妹群となった.クレードCは日本産の標本とヨーロッパ産H. cubisporaから構成された.

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キイボカサタケは胞子が四角い系きのこなのか。 来年は子嚢菌のHydnotrya cubisporaと合わせて観たいきのこリストに入れておこう。 参考:H.cubispora https://t.co/NEGO302N9v https://t.co/5dx7c7KSkV

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